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第3回コラム “健口”で自己実現を

安井 利一
明海大学学長

平成21年11月6日(金)掲載


 体の健康づくりのためには、栄養・運動・休養のバランスが大切だといわれますが、実はもう一つ大切なものがあるのをご存じでしょうか? それは口腔(こうくう=歯と口)の健康を保つこと―すなわち「健口」です。

 皆さんはなぜ健康に気を配るのでしょう? 健康でなければ、自分の夢や希望を満たすことができないと思うからではないでしょうか。その意味では、健康は生きる目的ではなく、毎日の生活の資源といえます。健康づくりの目標は自分の夢を実現すること、すなわち自己実現です。したがって、「健口」も自己実現のための資源と考えられます。

 食べる、話す、笑う、体を動かすことは「健口」によって得られる成果ですし、国民の皆さんがそのような自己実現社会を創造することは文化でもあります。80歳で自分の歯を20本以上保とうという「8020運動」や、食事の際に一口で30回以上噛(か)もうという「カミング30(サンマル)」なども、そのような文化を形成していく過程と考えられます。入れ歯やインプラントなど、たとえ歯を失っても機能を保てるような、歯科医学が生みだしてきた技術的な進歩もあり、調和を図っています。

 さて、子どもたちにとってスポーツは大きな夢の一つですよね? 大人やお年寄りにとっても、身体が意のままに動くことは喜びであり、楽しみでもあります。どうすればスポーツが得意になり、いつまでも自分の身体を動かすことができるのでしょうか。

 実は歯や歯の噛み合わせの状態によって、スポーツや日常生活の活動動作に違いが出ることが分かってきました。すなわち「健口」は、運動やスポーツをしやすくする身体づくりを支援できる、お手伝いできるということなのです。

 運動やスポーツをするには、身体のバランスを取ったり、力を入れたりすることが必要です。そこには歯や歯の噛み合わせが関係しており、皆さんが楽しく、笑いながらスポーツに興じたり、あるいは記録に挑戦する選手であったりするために、歯と口の健康が必要だということです。

 日本国憲法は「健康で文化的な生活」を保障しています。「“健口”で文化的な生活」を皆さんと享受できるように、私たち歯科医はこの土佐から「健口維新」を進めていこうと思っています。